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2016年2月21日日曜日

[Review] FUJIFILM X70、RICOH GR シリーズを凌ぐ、28mm スナップカメラの完成度

予約して待っていた FUJIFILM X70 がようやく、正式発売となった。28mm レンズと APS-C サイズでデジイチ並の大きさの CMOS を備えた高級コンデジとしては、(かつての NIKON COOLPIX A もなりを潜めて) RICOH GR シリーズ一択の時代が続いていたが、やっとそのライバルが出現した訳だ。発売されるまでは、 FUJIFILM X30 の延長にあるのだろうと思っていたのだが、実物を触ってみるとその質感や UI から、FUJIFILM X100 シリーズやミラーレスカメラの X-T10 から EVF を取り除いて小型化し、さらにブラッシュアップした万能スナップシューターとしての位置付けが強いと実感された。

X100、X-T10 そして X-T1 で好評を博している、独立したシャッタースピード、絞りダイヤルを持ち、伝統的なアナログ操作感と先端デジタル技術に基づく高い機能性を融合させたそのスタイルは、クラシックカメラ・ユーザー、そしてスマホからステップアップしてくるデジタル・ネイティブ世代双方に受け入れられ得る資質を備えている。

X70 を手にしてまず気づくのは、ボディのしっかり感。背面の可動液晶やダイヤル、ボタン類のひとつひとつ迄きちんと作り込まれて居り、電池込み 340g の質量より、最初はズッシリと感じられる。そしてこのしっかり・ずっしり感はそのまま、日々利用する上での安心感につながる。シルバーモデルのシャッターボタンの色合い、作り込みがまた素晴らしい。黒でなくこちらを選択した理由はここにある。


当方は普段、FUJIFILM 製のミラーレス機、X-T10 を利用していたのだが、軍艦部右肩の辺りのボタン配置は、X70 とほぼ重なるので、その点からも利用し易い。シャッターボタン周囲に電源 ON/OFF スイッチが配置されているのも、咄嗟のスナップチャンスに備える X70 の素性に見合うものだ。X70 では、X-T10 では左肩にダイヤルとして設置されていた「DRIVE」ボタンが右肩に置かれていて、連写やブラケティング、パノラマ撮影はこのボタンを押す事で瞬時に切り替え可能となっている。

再生ボタン、削除ボタンが可動液晶上部に配置されている点はユニークだ。可動液晶を好みの角度に固定したままで、再生・削除操作が手軽に出来る。そして X シリーズでは初となる(意外!)タッチ液晶の搭載も、GR と比較したアドバンテージ。液晶画面右手のソフトボタンを押す事で、OFF/SHOT/FOCUS が切り替わる。SHOT モードは一押しすると押した場所にピントを合わせて撮影迄完了してくれる。FOCUS モードでは、合焦位置を指先で指定出来る。もうすぐ発売される最上級機、X-Pro2 ではジョイスティックでフォーカス位置を自由に変えられるのだが、液晶上を指先で触れて合焦点を変えられる本機も中々便利だ。

そしてもう一つ。レンズ周囲の刻みが入ったコントロールリングを回すと、設定次第で多くの機能を呼び出せる。デフォルトでは、銀塩フィルム換算 28 - 35 - 50mm とクロップ範囲が瞬時にフル画面に表示されて切り替わるので、まるで超高速に動作するズーム機能を使っているかの様なフィーリングだ。APS-C サイズと大きな CMOS を使っているので、クロップ後の画像も Web 等で見る上では全く問題無い品質に仕上がっている。広角レンズから標準レンズ相当の画角まで、この一台で十分使いこなす事が出来る。勿論、マニュアルフォーカスモードに左前面のボタンで切り替えると、このリングがフォーカスリングになる。背面右上のダイヤルを押すと、フォーカス部分が拡大され、ピント合わせを行い易くしてくれる。

本日土曜日はあいにくの雨模様であまり撮影枚数を稼げなかったが、室内・屋外で、いくつか作例写真も撮影したので参考までご覧頂き度い。(flickr Album の作例写真はこちらからどうぞ。)

これまで利用して来た X-T10 + FUJINON 18mm f2 パンケーキ・レンズの組み合わせ(その組み合わせの flickr Album もこちらに。)と比較して、ずっと小型で薄型になりながら、撮影画質はほぼ同等だ。CMOS、映像エンジンが同じなので、当然といえば当然なのだが、普段散歩中に写真を撮影する事が多い当方にとっては、この小型・軽量化は非常に嬉しい。

RICOH GR シリーズと比較した X70 のアドバンテージとしては、まとめると、

・背面液晶が、180度反転の自分撮りも可能な可動タイプ
・アナログダイヤルが豊富(絞り・シャッタースピードも専用・独立ダイヤル操作)
・1/4,000 秒迄のメカニカルシャッターに加えて、1/32,000 秒までの電子シャッターの装備
・スマホと繋いで使う WiFi 画像転送アプリ FUJIFILM CAMERA REMOTE が使い易い
・デジタル・テレコンの操作が容易
・重厚なボディの造り
・充電用の USB が特殊ではなく通常のマイクロ USB ケーブルで OK
・富士フィルムならではの、アナログフィルムを模したフィルム・シミュレーション

などが挙げられる。一時代を築いて来た RICOH GR にも良い点はたくさんあるものの、X70 の挑戦を受けて、次期 RICOH GR3 はさらに操作性・機能を磨いて来るに違いない。その競争の行方を見守りつつ、今は FUJIFILM X70 を使って行こうと思う。

困るのは、X70 が良すぎて、今後購入予定だったより大きな上級カメラがもう必要無いかな、と迄思えてしまう事。まずは2月末に迫ったパシフィコ横浜での CP+ で、各モデルをチェックせねば。SIGMA からも新製品は出るのだろうか。




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