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2015年2月23日月曜日

[レビュー] Olympus E-M5 Mark II のメリット・デメリット


先日横浜で開催された CP+ 2015 でお披露目となった Olympus E-M5 MarkII。当日会場では実機に触れなかったので、発売初日となった先週2月20日金曜日、量販店店頭でじっくりとチェック。組み合わせて再導入しようと考えていた、防塵防滴で明るい m.Zuiko 12-40mm f2.8 PRO レンズとのバランスも確かめてみた。

外観で前機種の E-M5 から目立つ変化は、上面で形状が変化したダイヤル二つと、大型化した背面グリップ。シャッターボタンまわりの、前面のサブダイヤルは、前機種より大型化し、少し設置位置も前進して、使い勝手非常に良くなった。そして背面の、やや右後方に突き出す形状となったグリップ。m.Zuiko レンズの中ではやや大きく重い 12-40mm レンズを装着した状態でも、この背面グリップが効果を発揮し、バランス良く保持する事が可能になった。Mark II 故に派手さは無い変化だが、着実に使い勝手の良さが改善されている点は嬉しい。内蔵 EVF も236万画素で、大きく明るく、見易くなった。

一番気に入ったのは、機構が新しくなったらしいシャッターが、非常に静音化され、そして上品な音を奏でる点。これまで各種デジイチの静音シャッターを愛用して来たが、EOS 6D 以来の素晴らしい音質ではないかと、個人的に思う。感覚的な部分だが、非常に大切。当方的には、これを確認して、購入を決定した次第。

まだ多くの撮影を行ってはいないが、週末使ってみたところでちょっと困った点も。スイッチオンから撮影可能になるまでの時間、特に背面液晶 を閉じた状態で起動すると、まずは背面液晶の利用要否をチェックする回路が働くのか、起動に2−3秒を要した 点。更に、背面液晶を閉じて EVF だけで使っていると、EVF から目を離す度にスリープし、復帰に2−3秒。スリープ時間を0にしたり、してみたが、最終的に「カスタムメニュー」内の、 「K. その他」から、「低消費電力」撮影機能がデフォルトオン、になっているところをオフにしたら勝手に EVF を消してしまう事は無くなったのだが、このあたりの設定はちとわかりにくい。

本機の起動時間については価格コム辺りでも話題になっていて、そちらを参考に、更にメニューから、「レリーズタイムラグショート、シャッターボタン半押し中手ぶれ補正オフ」の設定を行って、なんとか使えるレベルになってきたが、EVF が起動後立ち上がる迄のややイラっとする時間はどうしても無くならない。

新しい5軸手ぶれ補正のセンサー起動に時間がかかるせいなのか、コンデンサの蓄電時間なのか、理由ははっきりしないが、このあたりはシャッター・チャンスを逃す事にもつながりかねないので、ぜひ Firm-up による短縮が可能であればメーカーに早急に取り組んで頂きたい部分である。E-M1 Mark II が出れば直ります、というのだけは避けて頂きたいと...。(苦笑)

今のところ、起動時間以外には大きな問題は無く、4千万画素相当の写真を三脚に設置すれば2秒ほどで撮影出来るハイレゾショット、高速なオートフォーカス、動画撮影にも威力を発揮する5軸の手ぶれ補正機能など、コンパクトなボディに実に十分な機能がぎっしりと詰まっている。外付けとなった付属フラッシュも、垂直・回転方向のバウンスに対応する秀逸なもの。それ故に、起動時間だけは何とかして頂きたい、と 切に願う次第。オリンパスさん、よろしくお願いします。

今なら3月 末まで、12-40mm PRO レンズと組み合わせて買った際の1万円キャッシュバックキャンペーンも。それに乗せられて、当方もこの PRO レンズを再導入。なかなか良いレンズです。作例写真は、とりあえずこちらの flickr album を参照ください。



2015年2月9日月曜日

[レビュー] Parrot Rolling Spider 初飛行

大型のドローンを自由に飛ばせる場所があまり無い東京都内では、室内で飛ばせるドローンを。ということで、早速 Amazon で注文すると、国内で扱っている京商から Parrot Minidrones シリーズの Rolling Spider が1日経たずに到着。小型ながら一定の高さで自動ホバリングが出来るドローンは、仏 Parrot 社ならではの完成度。早速パッケージを開けてみる。飛行時間は Bebop Drone より小型電池で短い(8分程度)為、予備電池も購入。

組み立ては簡単。電池をドローンのお尻側から投入し、背中部分にステーを装着、さらにホイールを両側に付けると出来上がり。室内ではこのホイールが非常に重要。意外に高速飛行するドローンはすぐに壁や天井に衝突しがち。大きなホイールが、損傷しがちなプロペラを、障害物が多い屋内で保護してくれるのである。あとは USB 経由充電を行い、ドローンの赤い目が消灯したら 100% 充電完了。

操作端末となるスマホ側では、先日購入済みの Bebop Drone と同じ Parrot 社アプリ FreeFlight3 が使える為、アプリを新規にダウンロードしなくて済む。早速アプリを開くと、最新の Firmware に Update せよ、との指令。調べると、本体に入っている Firmware は 1.0.1。これを最新の 1.97.0 に上げる必要がある。しかしここで問題が。iPhone6 Plus で新 Firmware をダウンロードし、Bluetooth 経由で本体に転送しようとすると、常に 0.8% 転送が進んだところで何度試しても止まってしまう。もしかすると、ということで調べると、Macintosh 経由で Update する方法を Parrot 社のサポートページから発見。指示通りにファイルを本体に USB ケーブル経由で転送すると、今度は問題無く Update が完了した。


さあいよいよフライト。基本操作は Bebop Drone と同じで、左のスティック(の絵)でドローンを上昇・下降・左右旋回。右のスティック(の絵)で、ジョイスティックモードならジョイスティックの方向に移動する。通常モードを選ぶと、スマホの加速度センサーと連動し、スマホを傾けた方にドローンが移動する。どちらのモードを選ぶかは好みだが、ジョイステックモードを選択すると、操作しながら iPhone6 Plus のカメラでドローンを動画撮影する機能があり、当方はこちらを多用した。

底部に30万画素の小さなカメラが内蔵されているが、画素数が少なくあまり良い写真は撮影できないので、むしろ飛んでいる様子をスマホで動画撮影する方が楽しめる。本体からのカメラ撮影を行い度いなら、上級機の Bebop Drone を選択すべきであろう。Bebop のカメラ機能の素晴らしさは、前のエントリーで力説した通りだが、そのブレ防止機能を含め、大変完成度が高い。アクションカメラを持っていなくても即利用出来て米国価格 US$ 499 の Bebop Drone が、今後日本でどの程度の価格で販売されるか、注目される。

ホバリングの安定度は、Bebop Drone 同様大変優れている。操作も容易で、これならドローン初心者ユーザーでも十分使いこなせる。日本国内価格でも1万円ちょっと、ということで米国価格の 99ドルと大差無い価格設定でここまで安定した飛行を楽しめるなら、空中での安定飛行が難しい数千円の玩具ドローンよりこちらを選んでも良さそうだ。早速、飛行中にジョイステックモードでスマホから撮影した動画をこちらに貼って置くので、その安定度を確かめて頂き度い。





2015年2月8日日曜日

[レビュー] Parrot Bebop Drone 初飛行体験と、3D Robotics IRIS+ 等最新ドローン、クアッドコプター米国最新事情

米国出張から帰国直後の時差ぼけで午前3時に起きてしまった事もあり、今回のシリコンバレー行きで見た、最新ドローンのまとめを以下につらつらと。

・子供用玩具としてのドローンは大きな市場を形成しつつあり、カードサイズの超小型から両手を広げた大型機まで、量販店の棚は訪問の度に広がっている。カメラ付きの機種も多数見られるが、屋内用主体で、モーターが弱かったり、カメラ仕様が今ひとつだったり。価格は US$40 - 200 程度。

・風が強い屋外で飛ばす事が出来、アクティブカメラ搭載可能でカメラ画素数が高く、モーターも強力で各種センサーを内蔵する本格ドローンは、日本でも見かける事が多い中国・深圳市本社の DJI 社に加え、Apple Store や Brook Stone での販売に注力するフランス・パリ本社(上場企業) Parrot 社、 Fry's 等量販店で大きな専用販売コーナーを構え始めた米国カリフォルニア州バークレイ本社の 3D Robotics 社(以下 3DR) 等が目立つ。

当方も今回購入した Bebop Drone を開発・販売する Parrot 社は、iPhone や Android 等のスマホで気軽に操作可能なコンシューマー・ドローン開発を得意とする企業。同社の存在を世界に知らしめた AR Drone シリーズ、玩具用で US$ 99 で買える超小型 Minidrone Rolling Spider、高性能前面カメラを内蔵しながら価格を US$ 499 に抑えた上級機 Bebop Drone と商品ラインナップを順調に広げている。本体に多種のセンサーを内蔵する Parrot は、超小型で玩具タイプの Minidrone でも他社製品とは一線を画して居り、自動ホバリング機能や解像度は低いものの底面カメラ搭載も実現している。

・Parrot Bebop Drone は当方も実際に購入し、米国サニーベール海沿いで、人気が少なく見渡しの良い公園、Baylands Park で初飛行させてみた。専用の WiFi 無線操作用 Skycontroller も US$ 399 で別売して居り、これを利用すれば 2km 迄 WiFi レンジを増幅(カタログ値)する事も可能だが、気軽に楽しむには無線到達範囲は狭くなるが、スマホやタブレットに専用アプリ FreeFlight3 をダウンロードし、日常利用するモバイル端末からの操作も可能。前後左右に回転させる簡単な微調整(キャリブレーション)を行えば、専用充電池を背面に接続し、Ready to take off。

・離着陸時の自動制御、底面センサーによる目の高さでの自動ホバリング、圧力センサーによる高度制御、GPS による WiFi 電波から外れた際の離陸場所自動回帰機能など、まずは安定した飛行を実現する各種電子制御の精度の高さに驚かされる。スマホやタブレット内蔵加速度センサーの傾きをリアルタイムに伝え、スマホやタブレットと同様の姿勢を機体が取る為、初心者でも容易にドローンの無線操縦を行える。

・中学生の頃、長時間かけてやっと組み立てたエンジン付きラジコン飛行機を、離陸後わずか数十秒で落下・破損させたという苦い経験を持つ当方でも、Bebop Drone は楽々操縦可能であった。ただ、予想以上にスピードが出る為、30メートル以上離れると木々等障害物との距離感が取りづらくなり、当方も 3m 程の木の枝にひっかけてしまい下ろすにひと苦労、或いは木に激突して落下させる(プロペラを1つ破損)という事態にも見舞われた。しかし Bebop Drone の機体が軽量 (約400g) である為、落下や激突によるダメージは意外に少ない、というのは幸いであった。(ちなみにプロペラは予備が前後2枚ずつあるので、即修復可能となった。)

・Parrot Bebop Drone 内蔵カメラもまた、高性能。180度魚眼レンズの画像を電子的に切り出し歪み補正を瞬時に行い、カメラを上下左右自由にスマホ画面右側のバーチャルスティックで動かす事が可能で、飛行中の動画をスマホに転送してくれる。動画は Bebop Drone 内蔵 8G メモリーに記録され、帰還後スマホやタブレットに FreeFlight3 アプリ経由 WiFi 転送が可能だ。初飛行の様子を記録した動画(外部から撮影した動画機体内蔵カメラから撮影した動画)を参照いただければと思うのだが、カメラの安定性は想像以上。500ドル程度の端末で、物理的ジンバルも無く電子制御でここまで Full HD 動画を撮影出来るのか、という満足の行く出来であった。ちなみに静止画撮影も可能で、録画を続けながらアプリ右上のシャッターボタンを押す事で静止画が切り出される。日本市場での正式発売はこれからの様だが、期待して良いホビー・ドローンである。

Bebop Drone は、ビデオ・マニュアルも充実している。その分、本体付属の紙マニュアル類はほぼ無いので、ネットを使いこなすギーク・ホビー・ユーザーをまだ対象としている製品、という位置づけなのであろう。(当方を含む。)アプリダウンロードから、実際の飛行、別売りスカイコントローラーの操作方法まで、詳しく動画で解説されている。ちなみに、スカイコントローラーは大き過ぎるが物理リモコンが欲しい、という向きには、NVIDIA 社の SHIELD PORTABLE という Android OS 内蔵小型ゲームコントローラーを購入すると、それでも操作が可能となる様だ。詳しい設定はこちらのフォーラムで。

・US$ 750 という価格で、アクションカメラ GoPro 搭載時のブレ防止用のジンバルを底部に備えた 3DR 社の IRIS+ は、Amazon 等が計画するコンピューター制御ドローン時代の到来を、現実に感じる事が出来る製品。単にカメラを搭載しただけではなく、Android (IRIS+ アプリはまだ iOS に対応していない様だ)スマホ・タブレット上アプリ地図に指で描いた軌跡の自動飛行、撮影者の Android GPS 自動追尾・撮影(カメラ中央に被写体をポジショニングしてくれる)機能が備わっている。詳しくは同社のプロモーション動画をご覧頂きたい。コンシューマー向け販売も行っているが、プロ用途に応え得る機能性の高さを持っている。

・以上の通り、2014年12月に発売されたばかりの最新機種 Bebop Drone の飛行を実体験し、今後開発される新商品群の動向を眺めると、ドローン市場はコンシューマー向けからプロ向け迄、急速に広がりを見せている事を実感出来る。法整備は、米国では進んでいる(飛行場から5マイル以内の飛行は禁止、国立公園での飛行も禁止、など)が、日本市場ではこれから、だ。米国ではホワイトハウス敷地内に DJI 機が落下する等の事件も起きて居り、今後更に法整備が進む事で、市場が急拡大すると思われる。注目は、空撮が必須となる建設現場や農場等での利用が必須となる B2B 用途のドローン。世界中で相当数のスタートアップが創業されて居り、Angel や VC による初期投資も盛んとなっている。数年以内に大きな産業となる事が見込まれる分野で、今後とも注目したい。IoT に注力する日本企業の活躍も期待したい分野である。

・尚、ドローン関連の当方撮影動画・写真はこちらの flickr album リンクを御参照。ドローンの真価を理解するには実際に飛ばしてみる事がおすすめ。まずは日本国内でも手に入れ易い Parrot の Minidrone Rolling Spider あたりを居間でホバリングさせてみること、おすすめです。ここ数年の進化に驚く事請け合い。

兵器利用されることには注意が必要なドローンですが、ホビーとしてのドローンは実に楽しい!!!、というデジクマの結論でした。