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2004年12月12日日曜日

UMD/802.11b 規格に見る Sony の PSP 戦略

iPod が普及し、iTunes Music Store が流行ると Sony が Walkman 以来築いて来た携帯 AV 機器市場での王者の地位がゆらぐ... というシナリオを語りたがる人が最近多いし、自分もそれに共鳴する部分が多かったが、今朝苦労して手に入れた Sony PSP (Play Station Portable) の UMD Demo ディスクで、美しい映像を見せられてこのシナリオを疑う姿勢も重要かもしれない、とふと気付かされた。 Sony は従来の Walkman の延長線上で MP3 対応など技術の Open Standard 対応を達成する事で蘇るのでは無く、PSP をベースとする独自の UMD ROM のコンテンツビジネスでの再生、技術囲い込みビジネスを今後更に強く志向する事で王者に返り咲こうとしているのかもしれない。 ソニー・コンピュータエンタテインメント社長兼CEO、久夛良木氏の今年8月のインタビュー記事からは、ソニー復活へのヒントが多く見え隠れする。ソニーは、コンテンツ戦略においては独自開発で尖った UMD、での復活を狙っている事が理解出来る。 PC Watch : 後藤弘茂の Weekly 海外ニュース・久夛良木健氏が語る次世代携帯ゲーム機「PSP 」の本当の狙い
単 体の携帯ゲーム機として見ても、PSPはパートナーにとって魅力的なはずだ。携帯機であれだけの3Dグラフィックスパワーを使ったゲームを作れる だけで楽しいだろう。曲面(サーフィスのサポート)だけでも無茶苦茶面白い。だから、まずゲームで基本的なベースができると考えている。

 その上で、(コンテンツが)セキュアであることをきちんと説得できれば、映画にも広がる可能性が大きいと考えている。コンテンツを作る側から見ると、今、DVDは頭打ちだ。次のブルーレイを待つよりも、すぐにお金が欲しい。そうすると、PSPへと広がる可能性が大きい。

そ う、PSP は携帯 PlayStation という位置づけだけではなく、独自規格の UMD ディスクのデファクト・ショウケースとしての役割をも、担っていたのである。PSP を単なる携帯ゲーム機でしょ、と考えるだけではいけないということに、本物に触れて気付いた。ゲームに全く興味が無い当方の70歳を越える年齢の父も、携 帯映画プレイヤーで定価約2万円の本機に、デモを見せるとすぐに、強い興味を持った。となると PSP は、子供だけに使わせるのはやはり、もったい無い。 そして、UMD 普及の次に Sony が PSP で狙うもの、それはやはり無線 LAN によるコミュニケーション・ツールとしての位置づけ、だ。
PSP は、たくさんのことができる“汎用のウォークマン”。何でもかんでも入る。例えば、技術的には、IEEE 802.11無線LANを入れれば、VoIP(ボイスオーバーIP)で電話ができるという話になる。そのうち、ラインナップとしてカメラを用意するかもし れない。そう考えたとき、エンターテイメントコンテンツを楽しむだけでなく、個人にとって見ればコミュニケーションツールにもなる。

 コミュニケーションを考えたらウォークマン以上。そのうち、PSP以降に、Cellの時代になったら、家の中にホットスポット、スターバックスにもホットスポット、会社にももしかしたらホットスポットとなって、PSPがどこでもつながるようになる。

こ ちらは一転、Standard Technology に準拠する戦略だ。確かに、Internet を基盤とするコミュニケーション技術の世界では、独自性を打ち出しすぎると孤立してしまう。こちらではむしろ Nintendo DS 等より Internet friendly な部分を打ち出す事で、Internet につながる携帯端末としてのデファクトの地位も一挙に確立しようとしているのだろう。 どの企業にも真似出来る戦略では無いが、新しいメディアによるコンテンツビジネスはあくまで独自路線、コミュニケーションは標準技術路線、これが当面、PSP を基盤とする久夛良木 Sony のビジネス戦略になるのだろう。 その他、参考となるリンク

SCEI 茶谷 CTO インタビュー (PC Watch)

SCEIに聞く、PSPのAV機器としての性能とは? (AV Watch)

(開発研究本部 ネットワークシステム開発部 部長 川西 泉氏)

PSP専用から標準ビデオ用メディアへの脱皮を目指すUMD (PC Watch)

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